手汗を治療する手術について

 手汗を止めるために行われる手術は、内視鏡による外科手術(ETS手術)です。
多くのサイトでは、「交感神経ブロック」という治療法と、「ETS手術」とを混同しているようですが、これらはまったくの別物なので注意してください。

内視鏡外科手術(ETS) … これは、わかりやすく言うと、手に汗を出す指令を送っている交感神経を、内視鏡をつかって手術して、切断してしまうというものです。
傷もほとんど残らず、手術時間も片方20分ほどで、日帰りででき、健康保険も適用されます。 薬などの治療法に比べ確実に効果があり、汗が減ります。手の平だけでなく、顔や脇など上半身の汗が減ることもあります。

副作用 …  汗は体温を下げるためのものなので、汗が減る副作用として、顔がほてって暑く感じるという方や、頭皮が乾いてフケが増えたという方もいます。 ホルネル症候群という、まぶたが垂れ下がってしまったり動向が縮んだりしてしまう症状を発症してしまうこともあり得ます。 そして、もっとも知られている副作用は、代償性発汗でしょう。

代償性発汗 …  これは、術後に、胸や胴、太ももなどからの発汗量が増えるというものです。手や脇などから出るはずの汗が、別の場所から出ていると言われたりもしますが、必ずしもそういうわけではありません。 必ず引き起こされるというのも間違いで、中には代償性発汗を感じないという人もいるんです。 また、どの程度の汗を不快に感じるかというのは個人の主観によるものでもあり、難しい部分でもあります。 ですが、代償性発汗を完全に出さずに手術することはできないのも事実です。

健康保険の適用外ですが、他の病院で行われたETS手術による代償性発汗の治療として、リバーサル手術を行っているクリニックもあります。
http://www.tenoase.com/061003riba-saru.html

手術には多くのリスクがあることをきちんと理解すること。 そして、そのリスクを減らすために、どんな対策を病院がとっているのかを分かった上で手術をするかどうか決めるべきです。
先ほど紹介したリバーサル手術を行っている山本クリニックでは、多汗症教室を行っていたり、ETS手術を行うのでも、術中電気刺激試験や左右を同時に治療しないなど、慎重に対策を行っています。
一般的に内視鏡外科手術(ETS)では、10万円ほどの治療費がかかります。

交感神経ブロック …  内視鏡外科手術と混同されがちな交感神経ブロックですが、これは神経を切断するのとは違い、注射による麻酔などで一時的に麻痺させるのを目的としています。
ペインクリニックなどで行われ、星状神経節ブロック療法といって、首に左右一対ある星のような形をした交感神経の塊に対して処置を行うのが一般的です。
注射によるもの以外にも、近年はレーザー照射による治療も行われています。