手汗と皮膚科・美容皮膚科・心療内科

 市販の制汗剤を試したり、漢方薬や民間療法をやってみてもなかなか治らないのが手掌多汗症です。
病院へ通うことも考えていることと思います。
病院へ行くと、実際にどんな治療が行われるのか確認してみましょう。

 まず思いつくのが皮膚科だと思います。
手汗に悩んでいると言うと、塩化アルミニウム配合の制汗剤を処方されるのが一般的です。
塩化アルミニウムについてはこちら。

美容皮膚科などでは、ボトックス注射による治療も行っているところがあります。 注射を行った部位において、6ヶ月~12ヶ月ほど汗が減らせます。効果が持続する期間は、個人差があります。手汗の多くなる時期が決まっているなら、その前に治療を行うといいでしょう。夏に増えるなら、毎年春にボトックス注射治療を受けるという具合です。 緊張型の多汗症の場合、一度の注射で完治することもあります。 健康保険が効かないため、一回10万円ほどかかります。
ボトックス注射の副作用についてはこちら。

イオン導入法(イオントフォレーシス)という治療方法もあります。ドライオニックという器具が有名で、汗の出るエクリン汗腺の活動を抑える治療法です。一週間に2、3回、15分~30分程度のイオン導入を行わなくては効果がなくなってしまいます。病院へ通う時間的な余裕があるか、もしくは器機を購入して自宅で行う必要があります。

実は、手術をすると手汗はぴたっと止まります。ETS手術といって、内視鏡による手術なら傷もほとんど残りませんし、片側20分程度で終わります。日帰りでの手術が可能です。内容としては、手から汗を出す交感神経を切除します。手から汗は出なくなりますが、副作用として別の場所に汗をかく代償性発汗があります。
内視鏡外科手術(ETS)についてはこちら

交感神経を切除してしまうのではなく、アルコールや高周波の熱、局所麻酔によって神経の機能を一時的に抑制する方法があります。 星状神経節ブロック(交感神経節ブロック)という治療法です。 このブロック療法は麻酔科医が行い、痛みを和らげるペインクリニックなどで痛みを和らげるために行われているものです。個人差もありますが、1年ほどで効果がなくなってきます。

手掌多汗症の原因は、精神的なものも多く、心療内科などで内服薬を処方されることもあります。 交感神経抑制剤、抗不安薬、抗コリン剤、抗うつ剤などです。
副作用として、抗コリン作用が知られています。症状は口の渇き、便秘、目のかすみ、排尿困難などです。副作用と治療効果とを天秤にかけなくてはならないということですね。手の汗だけ止まればいいのに、飲み薬は全身に効いてしまうというわけです。

このように、今あげただけでも多くの治療法があります。 病院で先生にすすめられたから安心だというわけではなく、きちんと自分でリスクを理解した上で治療にのぞみましょう。
疑問に思ったことは聞く。同意書などにはきちんと目を通す。 手術などは、左右いっぺんに行うのではなく、片方ずつ行うなど、リスクをきちんと管理して手汗と戦いましょう。